馬の流涙症は割とみられるが鼻涙管炎(涙嚢炎)のことが多い。
馬臨床学(蔵書1)やメルクvetマニュアル(蔵書2)には確定診断に色素点眼やレントゲン検査が必要と書かれているが、とりあえず洗浄してみる。
鎮静下で留置針の外筒を鼻側の開口部に挿入してマイシリン生食を注入すると(過度に圧力をかけないように!)、内眼角の2か所の涙点から白い粘液がでろでろ出てくる。粘液がなくなり開通すると砂漠で目から赤い液を噴出するトカゲのように注入した生食がピューと出るほどになる。
重症だとカテーテルを2~3週間留置したり、生後3~4か月に見られる先天性の鼻涙管口閉塞の場合は膜を切開する外科的処置が必要になったりする(蔵書1)らしいが、それにはまだ遭遇したことがない。
ちなみに、家畜比較解剖図説(蔵書3)を読むと
”・・・上、下眼瞼内縁に臨んでそれぞれ裂隙状の涙点lacrimal points(馬で幅2mm)があって、短い膜性の涙小管lacrimal ductを通じて漏斗状膜性の涙嚢lacrimal sacに連絡する。涙嚢は上顎骨涙嚢溝の起部におさまり、これより膜性の鼻涙管nasolacrimal ductが上顎骨の骨性涙管(鼻涙管)、涙溝中を走り最後は再び膜性鼻涙管となって外鼻孔腹縁・・・で腹鼻道に鼻涙口で開口する。”
と、涙の排出路だけでも羊を数えるより眠くなるほど複雑であることがわかる。
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