2017年10月25日水曜日

30代

30歳になった。
昨年は20代最後の年と焦っていた。仕事でもプライベートでも20代でやり残したことはないか?30代にふさわしい人間に自分はなれるのか?と。そして30歳といえば立派な大人の仲間入り、というイメージがあった。
しかしいざ30歳になっても何も変わらなかった。
年を取るだけで都合よく人格が変わるわけもないのは当たり前なのだが、がっかりした。

40歳を不惑というのはよく知られているが30歳は何というか。
孔子曰はく「三十而立(ジリツ)」
孔子は30歳手前のころ牧場で牛や馬の管理をしていたらしい。少し親近感を感じる。そしてその数年後から弟子を取り教育に力を入れることとなる。思うに、而立というのは自分の中で学んだことをまとめるというようなことではないだろうか。それが不惑につながっていくのではないか。
学ぶものがたくさんあるということは惑わせるものがたくさんあるということでもある。
静 vs 動、新 vs 旧、家庭 vs 仕事、調和 vs 自我、慣習 vs 新知見 etc...
今後は、ただ知識や経験を増やすのではなくそれをまとめられるようにならなければならない。

そこで浅はかなる私は、中身ではなく身の回りから変えることにした。
外見を気にしてばかりだと中身のない人間になるという批判はもっともであるが、まずは鏡の中の男から変えていこうという考えも嫌いではない。
つまりmitoを購入した。

外見から入るといったが、写真で見るmitoはあまりかっこよくない。特に日本の各メーカーが現在ラインナップする「ハイグレードなかっこいい車」とは全く違う。しかし実物を見てもらえばわかる。結婚指輪のような曲線と筋肉のような盛り上がりでできたボディは360°どの角度から見ても愛くるしくかつスポーティーである。

乗り心地はボディ剛性と伊仏車お得意のリアサスペンションの魔法の棒(トーションバーとも言う)のおかげでカーブが車を曲げるような錯覚をおこさせるオンザレール感。いままでの感覚では遠心力に負けそうなカーブでも速度を落とさず曲がってくれる。
エンジンはNモードだとかったるい所があるが、Dモードにすると右足に対するレスポンスが鋭くなり、ヒューンという音とともにターボにオーバーブースト機能がかかり猛烈なトルクを生み出す。

こうしてこれが大人の走りかと納得していた

が、1週間前に慣らしを終えてエンジンの回転数を上げていったところ違う世界が見えてきた。5000回転にむけて回転を上げていけば上げていくほど盛り上がるトルクとパワー。ターボラグを感じさせない、2000ccNAエンジンに近いフィーリング。そう、Nモードこそこの車の魅力であると気が付いた。
もちろんタイムを競うならDモードの方が早いだろう。速さを求めるのなら最大トルクは低回転からフラットに得られた方がいいだろう。しかしエコカー全盛のこの時代に、エンジンをグルグル回して、山林に光合成の材料を存分に提供しながら走るmito 1.4TスポーツのNモードは見方によってはこれ以上ない贅沢ではないだろうか。

mitoの魅力はまだまだ底知れない。完成品でもなければ最大公約数的なものでもないがそこがまた魅力である。30代についてもまだ完成を求められているわけではないし、小さくまとまる必要もないと思う。ネガティブにならず今まで見えなかった世界を楽しんでいきたい。
ばらばらに集めたものを吟味し、自分なりに分類分けして積み上げるには、そのものをよく知り、自分をよく知ることが必要だ。それが而立の「立つ」もしくは「立てる」なのだとmitoに教わったようだ。

mitoは雨も似合う

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