2017年12月29日金曜日

娘のガレージ

娘のガレージがすごい!

プジョー206WRCに!


アルファロメオ4Cも!

セカンドストリートと西松屋で購入


2017年12月27日水曜日

捻転去勢

ついに雑誌「家畜診療」において「牛の捻転式去勢」が日本語の活字となった(2017年12月号)。

牛の両側同時捻転
右上のまっくろくろすけみたいなのは横断された陰嚢のさきっちょ

詳細は伏見先生(シェパード→Guardian)が述べられているとおり。
実際の手技に関しても伏見先生の動画や豆作先生(十勝NOSAI)のblogで見ることができる(家畜診療誌の一部も)。
こちらでもたくさんやっているわけではないが、豆作式捻転棒を使ってやらせてもらっている。

この手技は馬のHenderson castration instrument(ヘンダーソン式捻転去勢法)がもとになっている。解放去勢法(結紮式)に比べて過度の出血や炎症反応などの合併症が少ないと報告されている[1-3]。

なので馬でもやっている。馬の場合は全身麻酔下で陰嚢縫線を縦に小切開し、そこから結合織を鈍性剥離して片側ずつ行う。重種馬(輓馬)はできないことはないが、結合が強く捻転棒が曲がってしまうので注意。

仰臥位でのサラブレッドの手動捻転去勢(野外では横臥位で行う)

精巣挙筋もちぎれて痛そう。局麻もしたほうが良いかと。

さて、問題は陰嚢の解剖学だ。去勢を行っている人のうち、はたしてどれくらいの人が陰嚢を正確に理解しているのだろうか。

家畜診療誌の図の原図([4]より)
※外精筋膜(外腹斜筋の続き)と精巣挙筋膜(内腹斜筋の続き)の位置がやや怪しい

この図を見てわかった気になってはいけない。この図はあくまでも一方向からしか見ていない模式図でしかない。
もっといろいろな模式図を見てみると・・・

カラーアトラス獣医解剖学より

manual of equine field surgeryより


まず牛の"陰嚢の横一文字切開"は皮膚・肉様膜に加えて外精筋膜や陰嚢間膜・陰嚢中隔も一緒に切断していることがわかる。牛の場合腹壁の筋間に当たる部分(精巣挙筋膜?)の結合が疎になっていて、切開時に総鞘膜の外にあたかも空間があるかのように感じられるようだ。一方、牛でも馬でも陰嚢縫線から鈍性剥離していく方法では外精筋膜のあたりを剥離しているようで、その疎な部分まで開けていない様に思う。
解放結紮式では総鞘膜のうちの壁側鞘膜を切開している(臓側鞘膜も切ってしまう時もあるが)。人と違い家畜では鞘状腔は終生を通じ鞘状管で直接腹腔と連絡する[4]ためこの方法では開腹しているといっても過言ではなく感染による腹膜炎のリスクが高いことがわかる。

次に、捻転している部分は精巣にくっついてきている部分なので、前者なら腹膜の続きの総鞘膜とそれに合体している横筋筋膜(腹横筋の続き)の続きの内精筋膜、後者なら内腹斜筋に続く精巣挙筋膜も、もしかしたら外腹斜筋に続く外精筋膜も捻転しているかもしれない。
その場合、内腹斜筋は深鼠径輪の一部であり外腹斜筋は浅鼠径輪の一部であるから、ねじ切れ方が少し変わってくるようにも思うが、いまのところどちらも問題は起きていない。

おわかりいただけただろうか・・・、阿保ほど複雑なことが。
なので、頭がこんがらがったら発生段階から追っていった方がわかりやすい。

[4]より精巣下降の様子
これだと鼠径輪がわかりにくいが、前述のように鼠径輪は外腹斜筋や内腹斜筋およびそれにつづく筋膜からできているのをここまで読んできたあなたはイメージできるはずだ

そして、百聞は一見にしかずならぬ百模式図は一見にしかず。youtubeで腹腔内潜在精巣の去勢手術が見られる。
クッキー動物病院のblogより

画面左下に伸びているのが血管、右下に伸びているのが精管、右上に伸びているのが精巣導帯のように見える。また、膜で腹膜とつながっているのも見える。腹腔内精巣と言っても腹腔の中にむき出しでいて自由に動き回っているわけではない。イメージが固まれば潜在精巣の探索にも役立つ。

養老孟司は「バカの壁」の中で『知るということは根本的にはガンの告知だ』『君たちだってガンになることがある。ガンになって、治療法がなくて、あと半年の命だよと言われることがある。そうしたら、あそこで咲いている桜が違って見えるだろう』と話している。
次に去勢をするときに今までとは違う景色が見えたらなら、あなたは陰嚢を知ったということだ。

参考文献
4. 蔵書3

2017年12月20日水曜日

エンジンオイル選び&交換

mito1.4Tスポーツは指定オイルがACEA C3, SAE 5w40なのだが、気軽に手に入るオイルでこれに該当するオイルは少ない(同じミトでもマルチエアSOHCのエンジンのやつはまた違う)。

だいたいこのへんから選ぶことになるのではなかろうか。

第一候補:純正指定オイル
★セレニア StAR PURE ENERGY 5W40
純正なので安心度抜群。でも4L缶は作ってるのは結局日本?

第二候補:メーカーアプルーバル(メーカー承認)
☆モチュール 8100 X-CLEAN 5W40
ラリーカーとかに良くMOTULのロゴが入っててカッコいい。5Lボトルあり。

第三・四候補:ACEA C3  5W40 規格適合
★ワコーズ 4CT-S40
○エネオス SUSTINA  5W-40
ともに国産油。4CTは性能は間違いないんだろうが高価すぎ。サスティナは日産車でよく使われるみたい。ルノー傘下だから?

第五候補:整備士のおすすめ
☆ワコーズ プロステージS 0W-30
高級輸入車や旧車につよい割と信頼できる整備士さんのおすすめ。回転数を上げない人で燃費を気にするならコレかと。低粘度過ぎて心配なら高粘度のをまぜることもできる。

第六候補:ACEA C3 規格適合
○エルフ EVOLUTION FULL-TECH LLX 5w-30
トタル・エルフはフランス車というイメージ。5w-30でもHTHS粘度(実効的な粘度)はACEA規格で保障されているのでたぶん問題ない。

まあ、そもそもオイルの良し悪しなんて考えれば考えるほどわからなくなるので、純正とアプルーバル取得オイル以外を入れる場合はもうブランドなりお薦めしてくれた人なりを信頼するしかないと思っている。
国産車なら規格さえ合っていればだいたい大丈夫なのだろうが、欧州車は規格なんて気休めだ。

価格はざっとネットで検索したところで1Lの値段が
★ →2000円超
☆ →2000円弱
○ →1000円強

206s16の時のように、ニトリで長いこと安売り(4L2000円)されていたカストロールXF-08(部分合成油)でも3000kmごとに交換していれば問題は起きないのだろうが(20世紀のエンジンは高性能オイルが逆に良くないという話もある)、なにしろオイルフィルター交換が気軽にできない
費用対効果を考えると、長く使っても安心で車にやさしいものを使いたい。

結論としてはモチュール 8100 X-cleanを採用。
アプルーバル取得という安心感!モチュールというブランドへの憧れ、というか見栄。
それから値段はやや高いが口コミでの評判も良いようだったので。
ちなみにベトナム製だった。

手動ポンプ式のオイル抜きでオイルレベルゲージの管から抜くのが楽ちん。
3Lくらい入るかと思って2.6Lくらい最初に入れたらもう満タンだった。オイルフィルター交換ナシなら5Lで2回分だったのかもしれない。失敗失敗。

下はモチュールのアプルーバル取得表。
mito1.4TスポーツのアプルーバルはたぶんFiat 9.55535-S2。

2017年12月12日火曜日

眼窩下神経ブロック

※注意 屠体の写真あり

けがの縫合やパピローマの疣を取るときなど何かと使えるのが眼窩下神経ブロック(infraorbital nerve block)。
鎮静だけで行えるならそれでもいいが、痛いと馬がかわいそうであるし、なにより痛がる馬は保定者や術者にとって大変危険である。

狙うのは眼と鼻の穴のちょうど中間で、鼻唇挙筋(levator nasolabialis muscle)の下(内側)。

ここ!

このあたりを触ると鼻から額に向けて走る筋肉(鼻唇挙筋)がわかる。その筋肉を指で押しのけて上か下にずらすとその内側に眼窩下孔が爪が引っ掛かるような感触で触れる。
ここに20Gもしくは22Gの1.5inch針を神経の向きに沿って、つまりは皮膚と浅い角度で鼻梁のラインと顔稜のラインにほぼ平行に、皮膚から1inch程入れる。眼窩下管の中にずいずい入れていく必要はないし、入れていってはいけない。孔から出てくるところに局所麻酔薬を数ml置いて神経ブロックすれば良い。

角度や位置が悪いと針先に骨に当たる感覚があるだけになる。うまくいくとスッと針が孔に入っていく。
屠体で練習すればそれほど難易度の高くない神経ブロックである。

けっこう爪をたててガリガリやらないと触知できない

この神経ブロックで無痛化されるのは上唇、鼻孔など眼窩下神経領域の皮膚、それに、鼻腔、切歯、犬歯、前臼歯とその歯槽・歯肉とされている。


2017年12月1日金曜日

アルファロメオがF1復帰!

アルファロメオ、ザウバーのタイトルスポンサーとしてF1復帰!


La meccanica delle emozioni(感情の機械)がついに動き出した!

Quadrifoglio Verde(四葉のクローバー)は幸運のお守り!

2017年11月30日木曜日

小岩井農場のトロ馬車

モータリゼーション前の日本では、馬は暮らしの一部であった。馬は人にとってなくてはならないものであったし、あって当たり前のものであった。
このあたりのことは今となっては愛蔵の復刻版岩波写真文庫 馬 を読み、ため息をつきながら思いを馳せるしかないのだが、日本のモータリゼーションは1950年代なのでわずか60年前であるのがなによりも驚きだ。
私が高校生の頃は、いつか石油がなくなれば馬と暮らす時代が再来すると思っていたが、内燃機関の自動車が時代遅れになりつつある現状では人間社会に後戻りはないようにも思われる。

時刻表にない鉄道データベースさんによると、このモータリゼーション期に姿を消した馬車鉄道を復元したものが現在の日本には2か所だけあるという。北海道開拓の村と小岩井農場だ。


盛岡ICから秋田方面へ車で15分。雫石町小岩井農場まきば園のコスモス畑の隣にお目当ての馬車鉄道はある。

1904年(明治37年)から1958年(昭和33年)まで家畜の飼料やミルク缶を小岩井農場内各所(広い!)や小岩井駅まで運搬するのに馬車鉄道が使われていた。それを復元したものが現在トロ馬車の愛称(トロッコ馬車の略?トロトロ進むから?)で親しまれている。

大人500円、子供400円
1周は5分くらいか?きれいなコスモス畑と羊の放牧が見れるかと思ったがコスモスは1分咲き、羊は遠くにいた。
乗り場、人が集まると発車する

馬のぱかぱかと鉄道のとろとろの融合!

アブ除けの服を着ていた

枕木の間に馬の蹄の跡

今までに経験したことのない不思議な乗り心地!
音、揺れ、景色、臭い、すべて初体験でドキドキする。


まきば園は公園のようなところなので、小岩井農場に来たのに牛を見ずに帰られる方も多い。牛はまきば園にはおらず、道路を挟んで向かいの上丸牛舎にいる。他の場所にもいるが一般客が見学できるのは上丸牛舎だけ。
昭和9年(1934年)に建てられた一号牛舎は今も搾乳牛が飼われているが、さすがに手搾りではない。タイストール形式でパイプラインミルカーで搾られている。搾乳はパフォーマンスではなく、搾られた牛乳は商品となる。分娩舎や哺乳・育成舎も文化財。消毒や使い勝手等大変な思いをされていると思う。建物自体が貴重なものなのはもちろんだが、それだけでなく、その建物で酪農が営まれているということに価値があるように思った。

小岩井農場は観光施設であって観光施設でない不思議な場所。
現在と過去が融合するあたりに岩手の懐の深さを感じる。

ちなみに、牛舎内は覗く程度しか見られないが牛の体重測定や削蹄をしていた秤量剪蹄室は中に入ることができる。壁に殴り書きされた削蹄師の覚え書きのようなものや昔の秤が見られて面白い。


2017年11月24日金曜日

秋から冬へ 雲海とタイヤ交換

秋の朝靄は遠野の名物だ。
濃いときには視界30m程の濃霧になるのだが、そんなとき今日は天気が悪いと思うのは間違い。
空に雲がなく放射冷却の強い日に霧が濃くなるようなので、逆に天気がいい証拠である。

それを上から見るのが通の遠野の楽しみ方だ。

10/26 7時 高清水展望台

蒸気だか精気だかモノノケだかが遠野盆地に溜まって雲海になっている様は神秘的だ。海というよりも山に囲まれた湖のようでもある。しかし、これを湖と言ってしまうとまずいことが起こる。
バチが当たりそうなのでこれ以上は追及しないが・・・うんうん。

高清水展望台までの道は細く険しく、崩落や鹿の飛び出しは日常茶飯事、熊の目撃情報もあるところなので行くのにかなりの覚悟が必要であるが、ツワモノは日の出前からシャッターチャンスを狙っているようだ。11月から5月の連休くらいまでは積雪で頂上に行けないこともある。

それでも、カッパ渕でカッパに会う確率よりも秋に遠野に泊まって雲海になる確率の方が高いので、観光客にもぜひチャレンジしてほしい。

雲海がないと下界はこうなっている。
2013/5/12
だいたい同じ位置で撮ったPeugeot 206s16

しかし秋とは言うものの、展望台付近の気温はがっつり氷点下。
たまらず11/10に冬タイヤに交換した。
本当は10/30にオイル交換したばかりだったのでもう少し新しいオイルを夏タイヤで楽しみたかったが換えて正解だった。11/16には北東北と山形の各地で初雪となる。


前にも書いたが、ミト1.4Tスポーツのブレンボキャリパーはデカい。デカすぎる。
16インチだとキャリパーとホイールの内径&スポークとの間の余裕は2mm程しかない。少し不安だ。


まあ、これはこれでかっこいいかもしれない。

そして、今はもう完全に冬である。こうしてみると1年の半分は冬であることに気づいてしまい暗い気持ちになる。

11/21積雪 峠はスキー場みたいになっていた

YOKOHAMA ice guard 5+は今のところ絶好調。3度の鹿の飛び出しにあったが、すべて運転手のコントロール下で鹿の直前で止まった。キャリパーとのクリアランスのなさも積雪時でも問題ないようだ。

mito 1.4ターボのタイヤの空気圧は取扱説明書によると、
()内は最大積載時
195/55R16 87V    2.3/2.1    (2.5/2.3)
205/45R17 88W XL  2.4/2.2  (2.8/2.5)
215/45R17 87W       2.3/2.1      (2.6/2.3)
215/45R18 89W XL  2.4/2.2      (2.7/2.4)

うちのmitoは
夏215/45R17  91W XL
冬195/55R16  87Q M+S
なので
ブリジストンの推奨空気圧検索システムを使うと
国産車のみ対応とのことだが・・・
夏 2.4/2.3

取説にウインタータイヤは0.2bar高くしろと書いてあるので
冬 2.5/2.3

で、許容速度は
夏 270 km/h
冬 160 km/h


2017年11月21日火曜日

ラップ療法とナイロン糸ドレーンに感動した

画期的なアイデアと思っていたものが一過性のブームで終わってしまったり、慣習で疑いもせずやっていたことがある時突然終焉を迎えたりする。
ダイエットやファッションの話ではない。創傷治療の話だ。



昭和生まれの人間ならばヨーチンやオキシドールで沁みるのを我慢しながら傷を消毒してかさぶたを作っていた時代から、沁みない・色がつかないマキロン(第一三共の商品名)の登場まで記憶に新しいことと思う。
平成生まれもマキロンにはお世話になったと思うが、今や消毒液は使わずに流水洗浄後キズパワーパッド(バンドエイドの商品名)を張るのが常識となりつつある。

「キズの処置」は単純なようで奥が深い。
というのも、時々刻々とダイナミックに変化する自己修復に我々はついていけていない。そうすると「修復」を助けようとしてやっているつもりの「処置」が正常な組織を「傷害」し、傷の直りを「邪魔」してしまう。傷口の消毒がそれである。
逆に細菌の増殖を助長してしまう湿潤状態にしておくのが自殺行為かというと、そんなことはない。このほうが痛くなく、かつ早く治る。これが新しい(といっても実は昔からある)創傷治療法の湿潤療法である。キズパワーパッドも湿潤療法のひとつだ。

詳しいことは夏井睦先生の「新しい創傷治療」の「創傷治癒の基礎知識」と「湿潤療法とは」、「治療法・治療例」を参照されたし。

動物でも同じ。
牛では、一次癒合に適すると考えられる”受傷後8時間以内”で”汚染されていない”外傷に出会うことはほとんどなく、傷を見たら”8時間以上経過した感染創で内部汚染がある”としてほぼ間違いない。馬でもだいたいがそうだ。
そんな状態でも創周囲を剃毛し、水道水(場合によっては井戸水や川の水)で良く洗浄した後ペットシートで包めば9割方治ってしまう。

これが産業動物業界でも常識化しつつある開放性湿潤療法(open wet-dressing therapy・ラップ療法)である。
乾燥療法しかやったことのない人は鳥谷部俊一先生の「ここが変だよ!床ずれの常識」や、動物病院エル・ファーロの「創傷治療について」を読んでやってみてほしい。感動する。

滲出液が多いときや面倒くさい時(!)はペットシートをそのまま傷に当て、伸縮性包帯で固定するだけで良い。ひと手間加える気力があるならば水切り用ポリ袋をペットシートと傷の間に挟むか、ペットシートの傷口に当たる部分にワセリンを塗っておけばそれだけでもう立派なラップ療法である。デブリドマンと生食洗浄もすれば完璧。数日ごとに数回巻きかえれば治ってしまう。

ただし、傷口が小さく、奥に膿瘍がある場合は、意図せずに閉鎖性湿潤療法になってしまい、深部感染が治らず、創もいつまでたっても閉鎖しない。
そんな時はドレナージが必要であり、ドレーンを留置することになるのだが、ドレーンも進化した。
ナイロン糸ドレーンである。これも夏井先生「新しい創傷治療」の「治療法・治療例」の「動物咬傷総論・咬傷のドレナージ」で学んだものだが、束にしたナイロン糸が滲出液を吸い上げるのには感動した。どのくらいかというと小学生の時お風呂の水をサイフォン式で抜いた時くらい感動した。ナイロン糸ドレーンの排出力を見てしまうと、もう今までの輸液チューブに穴をあけたものやガーゼを創に突っ込んだものはもはやドレーンとは呼べなくなってしまう。

8号か10号くらいのテグスを同じ長さに切ったものを上の写真のように傷の形に応じて何種類か作っておき使用している。写真左下のチューブに通したものが産業動物界で普及しつつあるように思うが、簡便さと使いやすさは写真右のただ結んだだけのものが一番なので個人的にはこれがおすすめ。小さいキズなら写真上の1本をコヨリ状にしたものが使える。
これまた是非やってみてほしい。

2017年11月14日火曜日

岩手のイタリア・フランス巡り(?)

岩手のイタリア・フランス車乗りにはたまらないスポットを紹介する。
今流行の聖地巡礼の一つに加えてくれ。

北上のケーキ屋さん  Boule De Neige
岩手でおなじみのお店。
お店のシトロエン2CVチャールストンがカッコいい

盛岡のパン屋さん PanoPano
店内はパンのディスプレイが良い。
隣の駐車場によくフィアット・チンクエチェントが停まってる
 
釜石の路上駐車(合法)
パリを彷彿とさせるかも。10時から20時は枠内は無料で駐車可
928の前に停まってるのは光岡ビュート?クライスラーPTクルーザー?

遠野のスーパーマーケット AQUTE(アクティー)
姉妹都市のイタリア・サレルノ市をイメージした由緒ある建物。
ラブホではない。

2017年11月11日土曜日

馬の寄生虫


最近痩せてきたという馬を見させてもらった。食欲はあるし、排便もまずまずで斜歯や齲歯もないようである。駆虫も定期的にしている。

が、念のためと思いうんこを採材した。馬の寄生虫卵は牛の原虫オーシスト検査と同じショ糖遠心浮遊法で検出することができる。

で、出てきたのが上の写真の虫卵。丸くて茶色い回虫卵と、楕円でいかにも細胞が入ってますと感じさせる円虫卵である。
定期的に使っている駆虫薬ではぜんぜん虫が出てこないので、今回は名前にゴールドが付く値段も高い駆虫薬を使いましょうと言って翌日うんこを見ると中に寄生虫発見!
めでたしめでたし

これが円虫。血を吸って赤い場合もある。
回虫はうどんみたいなやつ。

と、ことはそう簡単ではない。
問題は3つある。ひとつの駆虫に3つの問題があるぞ
①耐性なのか?
②病因なのか?
③駆虫プログラムを変えるべきか?

①駆虫薬に対する円虫や回虫の耐性については確かに報告されている[1]が、だからと言ってすぐに「耐性ができた」と騒ぐのは科学的でない。まず、「ゴールド」が付こうと付かなかろうとこの馬に与えている薬の有効成分はノーベル賞でおなじみのイベルメクチンである。ゴールドにはプラジクァンテルという薬も入っているがこれは"条虫(サナダ虫の仲間)"と"吸虫(肝蛭の仲間で馬にはほぼいない)"に有効な薬で、"線虫"に分類される円虫・回虫・糸状虫には効果がない。そして、耐性のように見える場合でも、ちゃんと飲み込まず吐き出していたや、投与量の不足、薬の保存状態が悪かった、薬が効きにくい幼虫期だった、前回の投与の後に感染した等いろいろな可能性がある。

②うんこに出てきたからと言って円虫・回虫が病因とは限らない。少なくとも寄生虫に限って考えても、虫卵検出率の低い条虫や、蚊が媒介するためうんこに虫卵が出ない糸状虫(指状糸状虫の脳脊髄炎、犬糸状虫の心臓寄生)、昆虫であるウマバエ幼虫等の可能性がある。そもそも円虫に関しては虫卵検査では病原性の高い大円虫(普通円虫・無歯円虫)なのか、腸管の中だけで生活する小型腸円虫なのか判別できない。現役競走馬での報告によれば、91.9%が円虫卵陽性であったが、剖検された馬の大円虫の寄生率は31.8%であった[2]とのことなので、円虫卵陽性でもその多くは病原性の低い小型腸円虫感染であると考えられる。また、イベルメクチンは血管中の大円虫の幼虫には効果が高く、腸の結節中の小型腸円虫には無効である[3]ため駆虫するほどその傾向が出るだろう。回虫に関しては大量寄生時の仔馬の腸閉塞が主な被害で、成馬ではそれほど問題にされていない。

③寄生虫の多かった昔は盲目的なプログラム駆虫が効果を上げていたが、現在はどの牧場にも推奨できるプログラムというものはない。牧場によって汚染率も耐性率も違うからだ。一応、最低限の駆虫プログラムがJRAの冊子[4]に載っているが、今後は虫卵の全頭検査や死亡馬の剖検結果をもとに地域ごと、牧場ごと、馬ごとに駆虫計画を立てることになるだろう。まだ経験が浅いので何とも言えないが、自分の周りでは虫卵・剖検ともに条虫は見たことがないけれども、剖検で大円虫やウマバエ幼虫の寄生は見ている。また、確定診断されたことがあるかわからないが、昔から腰フラや斜頸が散見され糸状虫によるものだと言われているようだ。
以上を踏まえると、回虫対策で仔馬には今までは使っていないフルベンダゾールを(ピランテルは腸閉塞を起こしやすい?)、駆虫が足りていない農家には糞便検査を奨めて虫卵が検出された馬に駆虫を、糸状虫対策に蚊の増える時期にはこまめに(潜伏期は16~66日で脳脊髄に入ってしまうとイベルメクチンが届かない可能性があるので逆算すると・・・)、耐性対策に薬剤をローテーションさせる、というのを改善策として考えている。

いずれにしても、虫卵検査を普及させつつ、虫卵検査の結果に踊らされず馬の年齢や地域の傾向から問題の本質を解決できる駆虫計画を立てるというバランス感覚の必要な仕事になる。頑張って対策を立てても、何もしていないところよりも被害が出てむなしい気持ちになることもある。

参考文献
[1] REINEMEYER, Craig R.; 前尚見. 文献紹介 薬剤耐性馬回虫の診断およびコントロール. 馬の科学= Equine science, 2013, 50.1: 65-69.
[2] 戸口昌俊; 茅根士郎. 現役競走馬の糞便内寄生虫卵検査成績.日本獣医師会雑誌, 2005, 58.4: 247-249.
[3] Nielsen MK, Reinemeyer CR, Sellon DC : Equine infectious diseases, Nematodes, Sellon DC, Long M, et al eds, 2nd ed, 475-489, Elsevier Health Sciences (2013)




2017年10月31日火曜日

紅葉ドライブ 雨の立丸峠



この後のふたつの台風で山頂はほとんど散ってしまった。
今年は紅葉の当たり年なようで、岩手県内はどこも例年以上にきれいな紅葉が見られていただけにちょっと残念。
里の方はまだまだ見ごろで11月の3連休まで楽しめるかと思う。
昨日は雪がちらつく場所もあったけど。

2017年10月27日金曜日

馬力大会もいよいよ大詰め

東北地方では巡業のような形で北海道でいうところの草ばんば大会が行われており、これを東北馬力大会という
宮城県涌谷町の桜まつりから始まった馬力シーズンも残りわずかで、自分が知るところでは青森県であと2回。

10月29日 中泊町尾別 竹内産業敷地内
11月5日 六ケ所村尾鮫漁港特設会場 六ヶ所産業まつり



馬力大会は興味深いのだが「ザ・地元祭り」なのでよそ者にはなかなか開催日と開催場所を知ることが難しい。 その地元感がまた面白いのだが会場の雰囲気も観光客にはなかなかにハードだ。
中泊場所(相撲のように○○場所と呼ぶらしい)は、グーグルで「竹内産業」で検索すると武田小学校の近くのところがヒットするけれどそこではなく、尾別字浅井の津軽開発協同組合というところの砂置き場に馬橇らしきものとU字コースらしきものが見えるのでたぶんそこだろう。たぶん。
六ヶ所場所はお祭りの中の一イベント。今年のポスターがネット上では見当たらないが、六ヶ所村のHPによると鮭のつかみ取りや歌謡ショー、吹き矢大会、理科教室、農海産物オークションなどイベント盛りだくさん。ちなみに馬力の参加賞は鮭かホタテ(その日の漁獲しだい)らしい。
写真は外ヶ浜の馬力大会に行った時のもの。場所は外ヶ浜町役場の裏。


2017年10月25日水曜日

30代

30歳になった。
昨年は20代最後の年と焦っていた。仕事でもプライベートでも20代でやり残したことはないか?30代にふさわしい人間に自分はなれるのか?と。そして30歳といえば立派な大人の仲間入り、というイメージがあった。
しかしいざ30歳になっても何も変わらなかった。
年を取るだけで都合よく人格が変わるわけもないのは当たり前なのだが、がっかりした。

40歳を不惑というのはよく知られているが30歳は何というか。
孔子曰はく「三十而立(ジリツ)」
孔子は30歳手前のころ牧場で牛や馬の管理をしていたらしい。少し親近感を感じる。そしてその数年後から弟子を取り教育に力を入れることとなる。思うに、而立というのは自分の中で学んだことをまとめるというようなことではないだろうか。それが不惑につながっていくのではないか。
学ぶものがたくさんあるということは惑わせるものがたくさんあるということでもある。
静 vs 動、新 vs 旧、家庭 vs 仕事、調和 vs 自我、慣習 vs 新知見 etc...
今後は、ただ知識や経験を増やすのではなくそれをまとめられるようにならなければならない。

そこで浅はかなる私は、中身ではなく身の回りから変えることにした。
外見を気にしてばかりだと中身のない人間になるという批判はもっともであるが、まずは鏡の中の男から変えていこうという考えも嫌いではない。
つまりmitoを購入した。

外見から入るといったが、写真で見るmitoはあまりかっこよくない。特に日本の各メーカーが現在ラインナップする「ハイグレードなかっこいい車」とは全く違う。しかし実物を見てもらえばわかる。結婚指輪のような曲線と筋肉のような盛り上がりでできたボディは360°どの角度から見ても愛くるしくかつスポーティーである。

乗り心地はボディ剛性と伊仏車お得意のリアサスペンションの魔法の棒(トーションバーとも言う)のおかげでカーブが車を曲げるような錯覚をおこさせるオンザレール感。いままでの感覚では遠心力に負けそうなカーブでも速度を落とさず曲がってくれる。
エンジンはNモードだとかったるい所があるが、Dモードにすると右足に対するレスポンスが鋭くなり、ヒューンという音とともにターボにオーバーブースト機能がかかり猛烈なトルクを生み出す。

こうしてこれが大人の走りかと納得していた

が、1週間前に慣らしを終えてエンジンの回転数を上げていったところ違う世界が見えてきた。5000回転にむけて回転を上げていけば上げていくほど盛り上がるトルクとパワー。ターボラグを感じさせない、2000ccNAエンジンに近いフィーリング。そう、Nモードこそこの車の魅力であると気が付いた。
もちろんタイムを競うならDモードの方が早いだろう。速さを求めるのなら最大トルクは低回転からフラットに得られた方がいいだろう。しかしエコカー全盛のこの時代に、エンジンをグルグル回して、山林に光合成の材料を存分に提供しながら走るmito 1.4TスポーツのNモードは見方によってはこれ以上ない贅沢ではないだろうか。

mitoの魅力はまだまだ底知れない。完成品でもなければ最大公約数的なものでもないがそこがまた魅力である。30代についてもまだ完成を求められているわけではないし、小さくまとまる必要もないと思う。ネガティブにならず今まで見えなかった世界を楽しんでいきたい。
ばらばらに集めたものを吟味し、自分なりに分類分けして積み上げるには、そのものをよく知り、自分をよく知ることが必要だ。それが而立の「立つ」もしくは「立てる」なのだとmitoに教わったようだ。

mitoは雨も似合う

2017年10月21日土曜日

仔馬臍ヘルニアのゴムバンド非観血的整復


三陸でマツタケが取れるこの時期は仔馬のヘソが取れるシーズンでもある。
といってもヘソがにょきにょき出てきたら困ってしまう。ここで取れるヘソはもともとの出べそで6か月齢になっても自然治癒しない還納性で無疼痛のもの[1]だ。
道具は羊や豚の去勢・断尾に使われるイージーカットとかイラストレーターとかいう名前のものを流用する。大手ネット通販や酪農用品サイトなどで売っている。トップの写真がゴムリングをつけた直後のもの。このヘルニア輪は3指幅で野球ボール大の出べそだった。

2~3週間後(水で洗ったところ)

3~4週間後

4~5週間後

瘢痕もしだいに消失してきれいになる。

この方法は人によって鎮静下立位でやったり[1]、全身麻酔下仰臥位でやったり[2]するが、誤ってヘルニア嚢内の腸管を巻き込まないようにするには熟練者以外は仰臥位がベストだろう。また、ヘルニア輪の適応範囲も3指幅以上[1]とするものや、7cm未満[3]とするものなどある。いずれにしてもゴムバンドでの整復に危険を感じたら外科手術に切り替えるべきだ。
この方法は見た目の乱暴さそのままに多くのリスクを含んでいる。周囲の皮膚の感染や創部からの腹部の離開、潜在的で重大な腹腔内感染の危険がある[2]。適切な環境と手慣れた術者がいれば観血的整復(外科手術)を行ったほうがリスクが低いだろう。しかし、そんな環境はどこにでもあるわけではないし、なによりゴムバンドによる非観血的整復の方が経済的である。

参考HP
[1]北の研究室から:当歳馬の臍ヘルニア(JRA日高育成牧場)http://www.equinst.go.jp/JP/kita/heya1207.html
[2]Battle of bulge: dealing with umbilical hernias (horse talk)
https://www.horsetalk.co.nz/2012/12/02/battle-of-the-bulge-dealing-with-umbilical-hernias/
[3]馬獣医のよもやま話:出べそ(臍ヘルニア)について(日高軽協だより)http://www.hba.or.jp/yomoyama/yobmoyama052.pdf

2017年10月17日火曜日

mitoの16インチ冬タイヤ

10月5日に車の気温計が0℃になった。
もう東北は冬だ。

しかし、mito 1.4Tスポーツはご自慢のブレンボ製巨大ブレーキキャリパーがホイールに干渉してしまうのでどこの馬の骨ともわからないようなホイールは受け付けず、したがって冬タイヤのホイール選びには難儀する。
これは夏タイヤのアルファロメオ純正17インチホイール

mitoスプリントの純正16インチホイールはブレンボ対応とのネットの情報を頼りにオークションでそれを購入したものの。。。

試しに履かせてみるとタイヤが回らない!!

目の前が真っ暗になりかけたが、よく見るとホイールバランス用のおもりがキャリパーに当たっていた。ホイール自体とは隙間1mmくらいだけどなんとか当たらない。
なんとかして!と整備士さんに助けを求めたところ、外側ギリギリにおもりを張ることでキャリパーをよけれたとのこと。タイヤに関しては安物買いの銭失いにならないようにNANKANGと迷ったがYOKOHAMAで調達したために、バランスおもりの量が少なくて済んだのもよかった。ひとまず安心だが、このクリアランスで雪道を走って問題がないかは走ってみないとわからない。
11月になったらタイヤ交換する予定。。。
バランスおもりが外側ギリギリ

2017年10月16日月曜日

牛と馬の倒し方(ロープスクィーズ)

実は牛は簡単に倒せる
がんばれば一人で、がんばらなくても2,3人いれば倒せる。
どうして牛が胴体を締めると倒れるのかはよくわからないが、知っておくといつか役に立つかもしれない。
"rope squeeze"で検索すればいろいろ出てくる。

方法① BURLEY method もしくはcrisscross method などと言うらしい

方法② reuff's method 首は締まらないように注意

具体的には方法①は子宮捻転の整復の時に、方法②は子牛の諸々の処置(昔は去勢で専ら使われていた)の時に使う。
牛はそもそもα2受容体作動薬をちょこっと打つだけで倒れるのでらくちんである。

一方、馬は倒れない。倒したり寝かしたりする調教方法もあるが、けがの時などは一からやっていられない。α2受容体作動薬でも倒れない。
しかし子馬なら方法②に近いやり方で胸部分に3重くらい巻きつけることで倒れる。

また、この方法は新生仔馬不適応症候群neonatal maladjustment syndrome(ダミーフォール)の治療法Madigan foal squeezeとして注目されている[1]。仔馬が産道を通り抜けるときの圧迫刺激を人工的に与えることで、子宮の中にいる"胎仔"から生れ出た"仔馬"になるスイッチをおすことができるとかなんとか。

参考HP
[1] the manual of equine neonatal medicine
http://www.equineneonatalmanual.com/foalsqueezing

2017年10月15日日曜日

ミト 1か月点検とオイルフィルター交換


愛蛇の1か月点検は無事に終了した。
大きな故障はなし。エアコンスイッチのライト不点灯とリアウインドウォッシャー不良は保証期間中でもあり無料で直してもらった。
エアコンスイッチのライトは苦労してパネルを外してもらったところLEDだったため基盤ごと交換するしかないように思えたが、整備士さんがゴニョゴニョやって戻してみると治っていた。ウインドウォッシャーは途中でチューブが外れていたとのこと。

普段は見られない愛車のおなか側

普通の+ネジでとめてあるカバーを外したところ

後ろ
このトーションビームがたまらんね

さらに素人には交換不能との悪名高いmitoのオイルフィルター交換。フィルターがある部分(矢印)を下から上に見上げたところがトップの写真。写真右が車のフロント側。
オイルフィルターの上に被さっている遮熱カバーがわずかに目視できるが、そのカバーを外すネジは全く見えない。ネジは3か所。しかし、場所がわかっても手と工具が入る隙間はタービン(日本のIHI社製!)に邪魔されて全くない。アルファロメオ(というよりフィアット)はmitoにターボをつけるつもりが最初はなかったか、設計者が酔っぱらいながら設計したか、経営陣がおちゃめかのどれかもしくは全てだろう。
 遮熱カバーにはトルクスの30。プラスチックのフィルターケースには六角ソケットの27とミニマムなレンチが必要。

整備士さんから「全く割に合わない仕事」との最大限の賛辞をいただいた。
DIYでやるにはかなりの覚悟がいる。某カー用品店のレジのおねえさんは会員なら無料でやりますと言っていたがはてさて。