公共牧野の仔馬の元気がなく下ろしてきた、とのことなので見に行ってみるとコイツが。
ダニ!(マダニ?)
血を吸ってパンパンになると落ちてくる。よく見るとうにうにと足を動かしているが腹が重くて歩けていない。
それでいいのか?とダニアレルギーの自分ですら逆に心配になるが、ヤツらを侮ってはいけない。
青森県の家畜保健所によると、ダニの多数寄生が原因で仔馬が衰弱死した例があるという[1]。
どれどれとお腹の下をのぞくと
多数寄生している!しかも現在進行形で血を吸っている。
貧血対策の鉄剤投与と一緒にとりあえずエクイバラン経口投与。で、翌日にはぽろぽろ落ちて仔馬も快方に向かった。
青森県の寒立馬ではフルメトリン製剤を2分の1に薄めたもの(何で?)を皮膚にかけることでダニ駆除をしているそうだが[1]、皮膚の厚い牛用に作られた薬は馬では皮膚への刺激が強すぎる可能性があり注意が必要と思う。
それで今回は安全面を考えエクイバランを使った。回虫や円虫等の「内部寄生虫駆除薬」ではあるが、血中の円虫にも効果があるということは血を吸う外部寄生虫にも効くかもしれない。青森の例でも実はフルメトリンと一緒にエクイバランの経口投与もしている。
どの薬がダニに効いたのかはわからない。というか、どの薬も効いてるんじゃないかとも、どの薬も効いてなくてただダニがお腹いっぱいになって落ちただけなんじゃないかともとれる。
わかっているのはダニのいないところで飼ってあげるのが一番ということ。
ここで回文をひとつ
鹿山のリスク 馬ダニだ 舞う 薬のまやかし
エクイバランも経皮投与の内外部寄生虫薬(アイボメックトピカル等)も成分はイベルメクチンだ。
この名前は聞いたことのある人も多いと思う。大村博士が2015年ノーベル賞に選ばれる最大の理由になったのがこのイベルメクチンだった。
大村博士はこの薬で年間3億人を寄生虫病から救っていると言われている[2]。平成の北里柴三郎もしくは平成の野口英世とも呼ばれる大村博士。次の千円札の肖像はもう決まりか?
[1] 平泉美栄子, et al. 寒立馬における地域一丸となった衛生対策. 平成27年度獣医学術東北地区学会発表演題
[2] 大村智氏、風土病薬「イベルメクチン」を実用化 アフリカで失明の危機を克服、効果劇的、産経ニュース
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