2021年8月4日水曜日
輸入凍結精液産駒たち 2021
2021年7月30日金曜日
Tokyo2020 オリンピック総合馬術
総合馬術は7/30,7/31に調教審査(馬場)からスタート。
そして8/1の朝7:45からが海の森の特設コースが注目の耐久審査(クロスカントリー)、
8/2が余力審査の二走(障害)です。メダルのかかる決勝は午後8:45から。
強いのはイギリス。
これにプラスドイツやフランス、アイルランドといったヨーロッパ勢 vs クロスカントリーに強いオセアニアのニュージーランド&オーストラリア vs カウボーイの国アメリカ vs 2018世界選手権団体4位の日本
という構図が見どころ。
予選の馬場・野外・障害を終えると上位25名が決勝の障害2回目に進むのですが、疲れてフラフラになりながらもライダーとの信頼関係を頼りに障害をクリアしていく姿には涙涙で、完走した全人馬に感動するでしょう。
他の馬術競技と違いクロスカントリーでの反抗3回や落馬、転倒による失権が珍しくないことや、途中の獣医師による馬体審査(ホースインスペクション)での失権、疲れで最終日の障害が飛べなくなっての失権などもあり、特に団体戦は3人馬が完走しスコアをそろえるだけでも難しいのが総合馬術です。
運や天を味方につければ下克上も十分あり得るだけに、日本も最もメダルに近いのが総合馬術だろうとここ数年総合馬術の強化に特別力を入れています。
頑張ってほしいですね。
総合馬術に出る馬は当然3種目ともこなせるオールラウンダーでなければいけません。この点に関してはフランスの品種「セルフランセ」が強いようです。
フランス代表がセルフランセで揃えてきているだけでなく、馬産大国ドイツもセルフランセ(フランス産&ドイツ産)での出場になります。
特にセルフランセのライセンスももっているGFE(フランス育種協会?)の種馬CONTENDRO GFEの子がバランス抜群。
CONTENDROの子チップムンク Chipmunk(ドイツ)やキャト60 CATO60(スウェーデン※セルフランセではない)は優勝候補です。馬場にもコンテストロDB KontestroDB(フィンランド※同)が、障害飛越にもムンバイ Mumbai(ドイツ※同)が出場予定でオールランダーぶりがうかがえます。
また、コンテンドロと同じくフランスからの凍結精液の輸入が(たぶん)行われているディアマン・ドゥ・セミリDiamant de Semillyの子ヴィアマン・デュ・マッツViamant Du Matz(ドイツ)とトレドデカーサーToledo de Kerser(イギリス)も優勝候補です。
Diamant de Semillyは後継種牡馬や近親種牡馬も多数おり、今後の国産のHARAS DE SEMILLYのスタリオン産駒に期待です。
2021年7月24日土曜日
東京オリンピック開幕 馬場馬術は7/24~7/28
取り急ぎ馬場馬術競技の見どころを!
まず間違いないのがドイツ強し。
予選の最後(7/25 21:51)に登場するイザベル・ベルトIsabell Werthは個人団体合わせて10個のオリンピックメダルを持っており、今大会でも2018年世界選手権で優勝しているベラローズⅡ(ウエストファーレン種)とのコンビで優勝最有力候補です。
ドイツはイェシカ・フォンブレドウ=ベルンドルJessica Von Bredow-Werndl &TSF ダレラ Bb(トラケナー種)が世界ランキング2位、ドロテー・シュナイダーDorothee SCHNEIDER &ショータイムFRH(ハノーファー種)も世界ランキング4位と上位独占(1位と3位がイザベルベルト)という圧倒的強さ。全員が優勝候補です。
馬もばっちりドイツ産で揃えていてたまりませんね。
これに対抗するのがオリンピック馬場個人2連覇中のイギリスのシャーロット・ドュジャルダンCharlotte Dujardinですが、2連覇を達成し馬場馬術グランプリフリースタイルの世界最高得点(94点台)をだしたことのあるヴァレグロは既に引退しており、今大会は10歳と若いジオ(KWPNオランダ温血種)とのコンビで爆発力に期待。
またヴァレグロの前の世界最高得点をマークしていたオランダのエドワルト・ハルEdward Galは伝説の馬場馬トーティラスの子で9歳のトータルUS(ハノーファー種)との出場ということで楽しみです。
他にもデンマークのカタリーヌ・ドフールCathrine Dufour&ボヘミアン(ウエストファーレン種)やアメリカのステファン・ピーターズSteffen Peters&サッペンカスパー(KWPN)もメダルを狙えます。
団体もこれまでに出てきた国がメダル候補と思います。
他には、選手の年齢が40代、50代がざらにいる馬場馬術の中で20代と30代で団体チームを組んでいるフランスは応援したくなりますね。
さらに日本も実はメダルを狙っています。というのもJRAが本気です。
さすが天下のJRA様。2017年2018年とそれぞれ8億円もの強化費を投じ、オリンピック用の馬の購入費などに充てています。日本サッカー協会のチーム活動費が男女合わせて年間3億円と言いますからすごい額です。
というのも、高級品の代名詞のようなサラブレッド競走馬ですが、それよりもさらに希少かつ貴重なのが優秀な馬術競技馬です。優秀な馬術競技馬の育成には10年もの時間が必要なうえに、相棒である愛馬をそう簡単に売ってはくれないものです。また、優秀な馬は優秀な教官にもなり、選手のレベルアップにもつながります。
値段は非公表ということですが、JRAは金メダリストのシャーロット・ドュジャルダンが調教し、国際大会ロイヤルウィンザーホースショーでグランプリ優勝経験もあるバローロ号を購入してJRA職員とともに海外を拠点として武者修行を重ねさせました。
これだけでもJRAのヤバさがわかりますが、今大会ではバローロ号は予備馬です。
出場するのはイギリスやデンマークで調教・競技されてきたルードウィッヒ・デル・ソンネンコニッヒ2(オルデンブルグ種)とフィンランド代表として本大会にも出場するヘンリー・ルオステの調教馬ウラカン10(デンマーク温血種)がJRA馬事公苑所属の佐渡 一毅、北原 広之とともに。やはり本大会にも出場するオーストラリアのシモーン・ピアースSimone Pearceとともにグランプリ競技に出ていたスコラリ4(ハノーファー種)がアイリッシュアラン乗馬学校の林伸伍とともに。
佐渡選手が4番目の演技(7/24 17:27)で先陣を切り、2日目は国際大会優勝経験もある北原選手、名門明治大学出身で全日本選手権を3度制している林選手が登場。7/27の団体決勝、7/28の個人決勝フリースタイルとメダルを狙います。
馬場馬術競技は始まってしまえばそれほど波乱のおこらない競技といえますが、何年もかけて育てた馬を大一番の舞台に無事に送り出すというだけでも大変なことです。ましてやヨーロッパからの飛行機での大移動、新型コロナウイルス対策での不便さ、東京の夏の暑さが重なっては何が起こるかわかりません。
全人馬が健康に最高のパフォーマンスが出せるように祈りますが、日本選手が地元開催の利を活かして上位に食い込んでくることも期待しています(といっても馬はヨーロッパからの輸送ですが)。
ちなみにフィンランド代表のヘンリー・ルオステHenri Ruoste選手と組むコンテストロDB(ベルギー温血種)は凍結精液で日本でも子供が生まれているコンテンドロgfeの子です。障害や総合だけでなく馬場もいけるんですね。
さらにショータイムFRHやスコラリ4、フランス代表モーガン・バルバンソンMorgan Barbançon選手と組むサードナーホールⅡOLDはサンドロヒットという大種牡馬の子です。同じくサンドロヒットを父に持つソリマンドゥハスの凍結精液も日本で供用されていますので、フランス産の凍結精液の輸入開始に伴って日本でもオリンピッククラスの血統の馬が手に入るようになりました。
夢は国産馬でのオリンピック出場ですね。
参考 五輪強化費、サッカーの倍以上の「マイナー競技」とは?:朝日新聞
2020年6月14日日曜日
フランスからの輸入凍結精液による子馬たち
帯広畜産大学
岩手でも
2020年4月2日木曜日
馬人工授精のワールドスタンダード
2020年2月8日土曜日
繁殖に使えるツボ
使ったツボは百会、陽関、腰膁、雁翅。この年最初の種付けの不受胎が分かった時から排卵するまでに3回施灸した。
2019年3月17日日曜日
助産 3つのルーチンと3つのNG
・引っ張るだけが助産じゃない
胎子の肢にロープをかけて引っ張る。助産というとこのイメージかもしれない。しかし、本来「押し出される」はずの胎子を「引っ張りだす」ことは、胎子と母体にとても大きな負荷をかけている。牽引による助産は子牛・子馬の活力を低下させ、免疫の移行にも悪影響があることがわかっている[1,2]ので、むやみな牽引は避けたい。むしろ本当の助産とは、引っ張らなくてもいいようにすることだと言える。
難産の発生率は多めに見ても初産牛で15%、経産牛で5%、馬で10%と考えられる[3,4, 5]。それ以上に牽引している牧場や、お産の死亡事故が5%を超えている牧場は、助産の方法を見直すことを考えてほしい。
・3つのルーチン
そこで、助産の3つのルーチンとしてもらいたいのが①緊急時を見越した準備、②発信履歴での時間管理、③潤滑剤を胎子に塗りたくる、だ。
①助産は誰もが慌ててしまうもの。引っ張る余裕がある所に移動させたり、胎水を吐き出させるために逆さ吊りにしたりする準備は先にやっておかなければならない。
②袋が破けて胎子の尿がでてくる第一破水や足胞出現からの時間は、助産や往診依頼の判断に重要。携帯電話は発信することで時刻つきの履歴が残るので、記録に活用できる。
③第二破水後であれば、アルギン酸ナトリウムや石鹸などの潤滑剤を胎子に可能な限り塗りたくる。これは産道との摩擦を減らすだけでなく、手の物理的刺激による産道の拡張やとにかく触ることで胎子の姿勢の詳細がわかってくるという効果がある。
・3つのNG
逆にやってはいけないのは①一人での助産、②足だけでの逆子の判断、③一方向からのみの牽引、だ。
①一人での助産はアクシデントがあった場合に人・家畜ともに危険を回避できない。
②また、蹄の向きや関節の曲がり方での判断は熟練者でも間違えることがあるので、逆子の判断は必ず尻尾で行う。
③そして一番最後に、するリスクとしないリスクを天秤にかけて牽引の判断をするのだが、左右の足を交互に引っ張ったり、引っ張る方向を上下左右に変えたりすることが大切だ。
1. 杉本仁美, et al. 乳牛の分娩において牽引の程度が新生子牛の活力, 血液ガス, 血清 IgG 濃度に及ぼす影響. 産業動物臨床医学雑誌, 2011, 2.1: 14-19.
2. JRA育成牧場管理指針
3. 乳牛の難産 : 原因,予防,助産および失位整復法 石井
4. 蔵書4
5. 山内亮. 最新家畜臨床繁殖学最新家畜臨床繁殖学, 1998.
2019年1月18日金曜日
馬の排卵同期化と発情誘起
過去の投稿は
→①馬の性周期におけるホルモン支配
→②馬の交配適期・授精適期とその予測
→③馬の採精と精液処理
→④馬の精液注入(人工授精 artificial insemination)
→⑤馬の凍結精液
2017年フランスからの馬凍結精液の輸入解禁、そして2018年日本で25年(?)ぶりとなる馬受精卵移植の成功、と日本の馬生産は今ターニングポイントに差し掛かっている。
日本は馬精液の凍結法の確立や、受精卵移植による馬の生産を世界で初めて成功させた。しかしその後、モータリゼーション到来に伴い農用馬が減少。自然交配しか認められていないサラブレッドの生産に偏っていった結果、馬の生殖補助医療技術は失われてしまった。
排卵同期化法も同様で、近年の日本での臨床報告は軽種馬のhCGによる排卵コントロール(宮越ら 2014)、重種馬におけるブセレリンの排卵効果(三木ら 2017)、重種馬のPGF2αによる性周期同期化(三宅ら 1976)、重種馬のE2,CIDR,PG,によるプログラム交配(安田ら 2008)程度しか見当たらない。
海外では1981年にLoyらが同期化法のベースを確立させて以降、凍結精液の定時人工授精法や移植レシピエントの排卵同期化処置として様々に発展し、普及している。
国内でも報告は見つけられなかったが、海外に倣ってプロジェステロンの経口薬(日本で動物用薬は市販されていない)を使った発情誘起・発情同期化がけっこう行われているようだ。しかし、どこまでの精度で排卵同期化できるのかはわからない。
そこで必要なのが2019年家畜診療掲載の家畜診療等技術・東北地区発表会抄録「CIDR,PGF2aおよびhCGを併用した馬の排卵同期化(庄野ら 2018)」のような臨床報告となる。
CIDR(シダー1900)を9 or 10日間膣内留置し、抜去時にPGF2a(プロナルゴン1ml)を筋注。その4日後にhCG(ゴナトロピン3000IU)を静注するという方法で、定時排卵率が77.8%という成績を得ている。
この場合の定時排卵率というのは、hCG投与時から96時間以内に黄体が確認された割合ということで、排卵48時間前から排卵24時間後とされる授精適期や、レシピエントの排卵日はドナーの排卵日の前日から2日後まで許容されるという受精卵移植の排卵同期化を意識したモノになっている。
やや精度が低い感は否めないが、さらにE2を併用するなどして今後改良されていけばと思う。
2019年1月5日土曜日
馬の凍結精液
2018年7月15日日曜日
馬の精液注入(人工授精 artificial insemination)
参考
DVD馬の人生授精技術 日本馬事協会2012
2018年7月9日月曜日
馬の採精と精液処理
偽牝台や人工膣にはいろいろな種類があるが、偽牝台は馬の輪郭を模造する必要はなく、馬と人の安全が第一に作られたシンプルなものが多い。人工膣は筒形のゴムを太いアルミ製の外筒の中を通して両端を外筒の外側に折り返すことで、ゴムと外筒の間に温水を入れて膣内の温度と圧力を再現している。重要なのは中の水を41~43℃に調節することだ。
採取した精液は室温(20℃ほど)でガーゼで濾してゲル状の膠様物を取り除く。
流動性・色・精子濃度・前進運動率でこれを評価する。活力測定には顕微鏡に熱テーブルを付けて37℃に設定する必要がある。
1回にとれる精液の量は5mlだったり150mlだったり個体差や日差でいろいろだが、これを希釈することで一回の射精で複数の繁殖牝馬に種付けできるようになる。
希釈液は日本では牛用のものを流用したり、市販の無脂肪牛乳をつかったりいろいろだが、いずれにせよ同じ温度にすることとpHを安定させること、精子に必要なエネルギーを保つ物質が含まれていることが大切のようだ。
一応希釈の際に使う式があるのだが、要するに総精子数に前進運動率をかけた有効精子数が設定する数になるように希釈するということ。
有効精子注入数は新鮮精液なら最低で3億、できれば6億ほど欲しいといわれている。凍結精液では有効精子が8億かつ、解凍後の前進運動精子が35%以上が最低でも必要といわれる。
理想的な希釈率は最終的な希釈により1mlあたりの有効精子(前進運動精子)が2500万と本にある。なのでこれを固定とすれば、例えば取れた精液が45ml、密度1.45億、前進運動60%であった場合には、総精子数(6.525)×前進運動(0.6)を最適密度(0.025)で割って156.6mlとなる。
有効精子注入数を1頭につき6億と設定すると、2500万/mlなので注入量は24ml。
よって6頭の牝馬に人工授精できる。
希釈率や有効精子注入数は変えることができる。深部注入などによって5000万ほどの有効精子数でも安定して妊娠させることができるlow-dose insemination法が欧米では研究されている。
精液の注入法については次回。
参考文献
馬の人工授精の理論と実践 E・クルーク、H・ジーメ
日本馬事協会出版 第5版?
2018年3月6日火曜日
馬の交配適期・授精適期とその予測
卵子の受精能の獲得や精子の授精する場所への到着に時間がかかるような動物だとそれらの時間も考慮に入れないといけなくなり難しくなるのだが、馬の場合それらは無視できるようなので単純に排卵と同時に授精・交配するのがベストとなる。
そして適期は排卵48時間前から排卵24時間後までと計算できる。
ただし凍結精液では精子の活力が低下しているうえに、排卵後の人工授精は早期胚死滅が増えるという報告もあり(卵子の老化?)、排卵12時間前から排卵までの間というごく限られた時間で、しかも明確な指標のない時間帯が適期となる。
2018年2月24日土曜日
馬の性周期におけるホルモン支配
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