自動運転よりもMT車を、自動車よりも馬を愛でるblog
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2020年8月16日日曜日

便秘疝と鼻カテ


馬の疝痛のほとんどは便秘疝だと言われている。

風気疝や寄生虫疝、痙攣疝といったもの(そもそもこの分類の仕方にも再考の余地がある)と鑑別されることなく治ったのかもしれないが、
実際、フルニキシン1mg/kg(牛の半分量)の静脈内投与で8割方の疝痛は治ってくれる。

鑑別のための検査は
直腸検査:枠場もしくは蹴られる覚悟が必要
エコー検査&内視鏡検査:お高い装置が必要
と、設備の整った牧場でなければ鑑別診断のハードルは高い。

それでも予後判定には鑑別診断と病態の把握が大切。
だからせめて、フルニキシンを投与しても疼痛が治まらないときは検査と治療を兼ねて鼻カテーテル(上画像)を入れてみてほしい。
イレウスが上部消化管であれば胃液の逆流が見られる。この場合は過食や十二指腸炎あたりが疑われる。胃液を抜くだけでスッキリすることもあるし、経口薬や下剤の投与にも鼻カテーテルは役に立つ。

カテーテルは海外の馬用のものが使い勝手がいいそうだが、ホームセンターの計り売りゴムホースなら安価でいろいろな太さ・長さのものを揃えやすい。
太すぎると鼻血が大量にでるし、柔らかすぎると噴門を通り抜けられない。
鼻カテ挿入の練習は失敗してもあんまり鼻血の出ない牛でやってもらいたい。
カテーテルが気管に入ってしまうときは首の角度を調整して何度かトライする。息を吹き込むことはできるが吸い込めないのが食道。

ついにでた!

便秘疝のときは流動パラフィンで少しテカテカしたウンコが実に神々しく見える。

外科手術の必要な変位疝や捻転疝なのか、10L程度の輸液と下剤で治る便秘疝なのかの診断には直腸検査が必要。
おしりから手を突っ込むと初めは宇宙みたいに感じるが、だんだん下図のように感じられてくるはず。

便秘疝と診断できればモサプリドクエン酸も使うことができる。

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