北海道開拓民の馬の力比べを起源に持つこの競馬は、現在は公営競馬としては世界で唯一、帯広市のみで行われている。
ばんえい十勝の公式HPはコチラ
▲10ブルーオーシャン 藤野俊一
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ばんえいとは「輓曳」、輓く(ひく:ゆっくりと引っ張り進む)と曳く(ひく:綱などで後ろのものを引っ張る)という字のとおり、馬が引っ張るソリに乗った騎手(馭者)が馬を操り、重い荷物を常歩(なみあし)とよばれる最もゆっくりとした走り(歩き)で競う競馬である。
荷物を運ぶ能力を競うという起源そのままに、「ソリの後端がゴールラインを過ぎたらゴール」、「競走の格が上がるほど荷物の重さが重くなる」などの特徴がある。
馬は平地・障害競馬で使われるサラブレッドなどの軽種馬や繋駕速歩で使われるスタンダードブレッドなどの中間種ではなく、パワーとウェイトにあふれる重種馬である。
しかも、帯広で活躍している馬は重種馬の中でも力強さを求めて交配されてきた世界一パワフルな日本輓系種である。
さて、そのばんえい競馬における4歳馬(明け5歳馬)の最強決定戦・天馬賞を初心者向けに予想したい。
参考になるのは地方競馬情報サイトや各ネット馬券購入サイトで見られる出馬表や、主要レースの見どころや予想が無料で見られるオッズパークばんえい競馬情報局、そしてパドックや公式HPで見られる輓馬たちの顔つき・体つき・気合である。
出馬表で見るのは、
①騎手
②負担重量
③過去の成績
④過去の対戦表
①騎手は平地競馬に比べて、障害を越えるばんえい競馬は特に重要で、馬5騎手5とも囁かれる。これはもうそのまんまリーディング上位の騎手を買っておけば間違いない。
現在であれば勝ち数1位から5位の鈴木恵介、阿部武臣、藤野俊一、松田道明、藤本匠の乗る馬は無条件で買いである。
②負担重量とはソリの重さ。格の高いレースは特別に重い重量であったり、ハンデで獲得賞金の多い馬だけ重くなっていたりする。牝馬(♀)や新人騎手・女性騎手だと減量される。高重量戦に強い馬と弱い馬がおり、ここの見極めがばんえい競馬の一番の面白さである。
③出走馬の直近5回のレース結果が出走表に載っている。レース名と負担重量、順位、タイム、1着馬(or2着馬)とのタイム差を見るとその馬のランクや調子、特徴がわかる。
④"地方競馬情報サイト"なら出馬表の上の「対戦表」を、楽天競馬なら「レース分析」というところをクリックすると最近の出走馬同士の対戦表が見られる。馬同士の上下関係が一目瞭然である。ただし、負担重量や馬場水分、騎手によって結果が変わってくるのでここは一筋縄とはいかない。
パドックでは細かいことは気にせずに五感を研ぎ澄ませてお気に入りの馬を見つければよい。顔が良いでもオーラを感じるでもいい。調子の良さはいろいろな形でにじみ出てくるものである。理屈抜きに選んでほしい。
これを踏まえて
2018.1.3 帯広10R 天馬賞 BG1
◎9マルミゴウカイ 藤本匠
○2フウジンライデン 島津新
△6ツルイテンリュウ 長澤幸太
注5ホクショウディープ 鈴木恵介
まずこのレースは定量戦と言って皆が同じ負担重量(牝馬は-20kg)である。王者決定戦のようなレースには定量戦が多い。他の多くのレースは獲得賞金などによってハンデが付くレースなので、近走で重いハンデを背負わされて負けている馬も今回逆転が可能と考えてもらいたい。近走を見るとオープン&Aクラスで多く走っている馬とBクラスの馬がいるのがわかる。当然前者の方が格上であるが、3歳・4歳馬の場合、年齢別のレースで稼いだ賞金によってクラスが上がってしまい、年齢別以外のレースでは惨敗を繰り返す馬がいる。
例えば6ツルイテンリュウは近走は散々な成績だが、ばんえい菊花賞を制している実力馬。ばんえい菊花賞BG2(3歳限定)の賞金の分、クラスやハンデがきつくなっていたのである。
それからばんえい競馬では勝利タイムが遅ければ遅いほどパワータイプ、早ければスピードタイプと言える。高重量戦でも天候によっては馬場が雨や雪でジャバジャバになりスピード対決になることもあるので、タイムで今回のレースが向いている馬か向いていない馬か判断する。
このレースに限っては対戦表はあまりあてにあらない。それよりもばんえい競馬情報局にも書かれているように4歳三冠レースである柏林賞と銀河賞、それに加えてイレネー記念やばんえいダービーといった過去の世代最強決定戦を参考にしたい。公式HPから前年までの重賞VTRを見ることができる。
まとめる。
世代重賞で活躍し、なおかつ上位クラスの古馬とも対等に渡り合っている9マルミゴウカイと2フウジンライデンはパワーでは別格。逆に柏林賞・銀河賞で共に2着ではあるが5ホクショウディープはスピードタイプなので軽馬場(馬場水分高い)なら良いが重馬場(馬場水分1%くらい)なら買い控えたい。
馬場水分が2%以下なら負担重量-20kgがより有利になるので女王10ブルーオーシャンと展開がはまり先頭で障害を越えてくれば一発もあり得る6ツルイテンリュウに期待したい。
軽馬場なら乗り替わりで西謙一初騎乗の7タフガイも油断ならない。
本命
馬単
9→2
3連単流し
9→2→5,6、10
抑え
3連単軸2頭マルチ
2,9→2,5,6,9,10
大穴
馬単マルチ
6→2,5,9,10
軽馬場なら追加で
馬単流し
9→5,7
5→6,7,9,10
追記:10ブルーオーシャンは出走取り消し
当日に天候・馬場状態とパドックの雰囲気で切ったり厚く買ったり微調整する。
ばんえい競馬は約1.6mの高さがある第二障害が最大の見せ場。たいていの馬はこの障害の前でいったん止まって(競馬なのに止まる!)息を整えるので横一線に並ぶ。
そして静から動へ、障害を仕掛けるタイミングと馬がまっすぐに、かつ力を入れやすいように上らせるのが騎手の腕の見せ所。馬が全身を使って、さらに騎手も馬の体の一部になったかのようになって登攀する姿は迫力満点。
坂を上り切った後は馬の力と力のぶつかり合い。ここは駆け引きなしに力の限り一歩一歩歩き続ける。
セーフティリードは存在しない。止まってしまえばゴールは近づいてこない。
馬の一発逆転ライブショーという公式キャッチフレーズは伊達ではない。
1番人気馬でも障害で失敗して膝をついてしまったりするとあっけなく着外になることもあるし、馬場水分によってソリの摩擦が変わりレース展開が全然違うものになるため、天候という気まぐれなものが重要な予想ファクターとなる。それがばんえい競馬の予想の難しい所でもあり、高配当が続出する魅力でもある。
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